本と犬

洋書とオーディオブックについて語るブログ。最近は怪奇小説が多め。

シニア探偵たちが殺人事件の謎を解く The Thursday Murder Club

The Thursday Murder Club

作品データ

著者:Richard Osman
日本語版:なし
ジャンル:コージー・ミステリー
舞台:イギリスの高級リタイアメント・コミュニティ

Audible: 

www.audible.com


出版社の作品紹介サイト:

www.penguin.co.uk


概要

  イギリス・ケント州の高級リタイアメント・コミュニティ。元看護婦のジョイス、労働組合の運動家として知られたロン、元精神科医のイブラヒム、そしてリーダー格で、謎の過去を持つエリザベスの4人は、毎週木曜日に集まり、過去の未解決事件の謎を解く「木曜殺人クラブ」という趣味のサークル活動(暇つぶし?)をしている。そこに、実際の殺人事件が起こったものだから、これを調べない手はないと、クラブの面々はやる気満々だ。殺されたのは強欲な開発業者の男で、なにかと恨みを買っていたらしい。エリザベスの「奥の手」で警察の捜査に介入し、独自に情報を収集するうちに、怪しい人物が次々と登場し、新たな殺人も起こるなど、のどかなコミュニティは一気に騒然となる。果たして、素人シニア探偵団は、無事この事件を解決できるのか?

感想

 年末に部屋の片づけなどをしながらオーディオブックで聴き読みしたのですが、おもしろすぎてしょっちゅう手が止まってしまい、まったく掃除にならず……。というほど、とにかく楽しいコージー・ミステリーでした。実際の事件を不謹慎にも大いに楽しんでいるシニアたちには、くすくすと笑わされっぱなしでした! 高齢者であることを逆手に取り、自分たちに都合のいいように話を持っていくなど(どう考えても無理な言い訳が通ったりする)、やりたい放題。「木曜殺人クラブ」の4人のキャラクターが秀逸で、とくに語り手役のジョイスがチャーミングでした。個性あふれるメンバーのなかで、最も目立たない人間だと自負するジョイス。事件の記録を残そうと日記をつけ始めるのですが、関係ないこともいろいろ飛び出して、話が脱線することもしばしば。こういうわちゃわちゃ感も、コージー・ミステリーならではの味ですね。
 展開はスローで(まあ当然といえば当然)、伏線や犯人候補もたくさん出てきます。「○○が犯人……と思いきや△△……と思いきや……」と、引っ張る引っ張る! あれがあれにつながったのか、という意外な結末も用意されています。聴き洩らした部分もあるので、そのあたりは文字で追いたいところ。ミステリとしてもなかなかおもしろいですが、やはり人物描写や構成のよさが光る、きわめてエンタメ性の高い作品かなと思いました。オーディブルのナレーションもよかったです。最後に、著者のインタビューも収録されていました。

 作者のリチャード・オスマンはイギリスではおなじみのテレビ司会者で、本作がデビュー作にもかかわらず、そのクオリティの高さとおもしろさで大ヒットとなりました。第2弾も出版されるそう(映像化の話もあるとか?)なので、今から楽しみです。

 最近、長編のミステリー、とくに重いテーマのものを読みあぐねるようになってきて、昔はあれほど読んでいたのに、とさみしく思うこともあります。そんななかでも、コージー系は安心して読めるので、変わらず手が伸びるジャンルです。これを機に、2021年はクラシックなコージーも読み返したくなりました。


(ドロシー・ギルマンの「おばちゃまはスパイ」シリーズとか)

 
(笑えるコージーといえば、ドナ・アンドリューズ!)

 
(ジル・チャーチルのこのドメスティック感、好きです! タイトルがまた……)

 
(コリン・ホルト・ソーヤーの元祖?シニア探偵団シリーズ)

 
(文庫で全部そろえたくなる、リリアン・J・ブラウンのシャム猫ココシリーズ)

好きなコージー・ミステリーをあげると、きりがありません。

 

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(年末年始は読書三昧……の予定でしたが、積読本が増えただけでした……)