本と犬

洋書とオーディオブックについて語るブログ。最近は怪奇小説が多め。

カタツムリが教えてくれた、生きるということ The Sound of a Wild Snail Eating

The Sound of a Wild Snail Eating

 

作品データ

著者:Elisabeth Tova Bailey
日本語版:『カタツムリが食べる音』
ジャンル:ノンフィクション(自伝)
舞台:アメリカ
作品の雰囲気:ややシリアス
Audible:なし


著者のサイト:

www.elisabethtovabailey.net

概要

 ある日突然、難病に侵された著者と、一匹のカタツムリとの不思議な絆を描いた自伝的ノンフィクション。ほとんど体を動かすことができない著者は、ひょんなことからベッドサイドにやってきたカタツムリの観察を通して、この世に存在するということ、生きるということを見つめなおし、ふたたび前を向いて生きる勇気を取り戻していく。

感想

 カタツムリは「のんびりした生き物」というイメージでしたが、この本を読むと、なんて魅力的な生き物なんだろうと驚かされます。冒険心にあふれ、行動的で、食欲旺盛(ネットで「カタツムリの食べる音」を聞いてみましたが、なんともいえない音でした)。小さな体に生命力がみなぎっている感じ。雨が降って、カタツムリたちに会えるのがなんだか楽しみになってきました。

 こちらが翻訳書。

 

『カタツムリが食べる音』
エリザベス・トーヴァ・ベイリー:著 高見浩:訳

 

 翻訳は、ヘミングウェイの新訳でも知られる高見浩さん。原文のよさを活かし、流れるような、語りかけるような、読んでいて心地よい、とても美しい訳文です。音読してみると、その美しさがよくわかります。

 伝記や回顧録というのは、ノンフィクションとフィクションの中間にあるジャンルじゃないでしょうか。どちらに寄せるかで、作品の印象がまったくちがってくる。もちろん、原文の雰囲気や文体次第ですが、あまり「読み物」っぽく訳してしまうと、エンタメ性が強くなりすぎて、実話の重みが感じられなくなるでしょうし。著者の「生の声」を壊すことなく読者に伝えるのがいかに難しいことか……。

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(ナメクジは苦手なのに、カタツムリはかわいく見えるのは、背中にしょってる貝があるから?)