本と犬

洋書とオーディオブックについて語るブログ。最近は怪奇小説が多め。

オーディオブックで聴くべし!なYAミステリー Sadie

Sadie

作品データ

著者:Courtney Summers
日本語版:なし
ジャンル:ミステリー、サスペンス、ヤングアダルト
舞台:アメリカ

Audible:

www.audible.com


著者のサイト:

courtneysummers.ca

概要

  コロラド州コールドクリーク。19歳のセイディは、吃音症という障害を抱え、父親が誰かも知らず、薬物中毒の母親に愛情を注がれることなく育った。セイディには、13歳の妹マティを守り愛することが人生のすべてだった。だが、悲劇が起こる。マティが何者かに殺されたのだ。捜査が行き詰まるなか、セイディは町から姿を消した。
 一方、ニューヨークの放送局のプロデューサーであるマクレイは、取材を通じて知り合ったセイディの後見人メイベスから、セイディ探しに力を貸してほしいと頼まれる。セイディは、マティを殺した犯人を捜し、自ら裁きを下すつもりなのだという。「もうひとり少女を死なせるわけにはいかない」メイベスの言葉に突き動かされ、調査を開始し、その顛末をポッドキャスト番組として配信する。セイディの足跡を追ううちに、彼女の本当の目的と苦しみ、悲しい過去が明らかになっていく。果たして、マクレイはセイディを見つけることができるのか?

感想

 唯一心の支えだった妹を亡くし、ひとり犯人を追うセイディは、もろいナイフのよう。自ら危険に飛び込んでいき、出会った相手を、そして自分をも傷つけてしまう。物語が進むにつれ、セイディがなぜ犯人を追うのか(もちろんマティのためでもありますが)、本当の理由が明らかになっていきます。読み終わったあとも尾を引くというか、いろいろ考えさせられる作品でした。

  この作品のオーディオブック版、なんといってもキャスティングと構成がすばらしい! セイディは生まれつき吃音症なのですが、そのセイディを担当したナレーターの熱演には心を打たれます。また、マクレイが語りの章では、オリジナルのポッドキャスト番組を仕立てていて、オープニング曲まで流れるという、力の入れようです。誰かにインタビューしている場面は、ちゃんと「インタビューしている雰囲気」になっていたりと、随所凝った構成で、本物のポッドキャストを聞いているようでした。オーディオブックは、ひとりのナレーターがすべて読み上げる場合と、複数のナレーターがキャラクターを演じ分ける場合とありますが、この作品は後者です。

 専門家からの評価も高いようで、Audie Awards(アウディ賞:優れたオーディオブックに授与される賞)のYA部門等の最優秀賞に選ばれています。作品自体も評価されていて、Edgar Awards(エドガー賞)のベストYA部門賞を受賞。翻訳が待たれる作品ですね。

 

  余談ですが、オーディオブックは、Audible.com(アメリカ版)を利用しています。日本版(Audible.co.jp)を使ったことがないので違いはよくわかりませんが、アメリカ版はメンバーになると、Audibleオリジナル・オーディオブックが毎月2本、プラスでダウンロードできる(その月のリストから2本まで選べる)というサービスがあります。短編が多いのですが、なかなかおもしろい作品が多くて、得した気分になります(といっても、ダウンロードして手つかずの、積読ならぬ積聴が増えていくのですが)。

 

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 ("Sadie"の表紙の女の子には顔がありません。顔がないのが、ストーリーを暗示しているように感じました。)