本と犬

洋書とオーディオブックについて語るブログ。最近は怪奇小説が多め。

「聴導犬」が出てくるサスペンス Not A Sound 

Not A Sound 

 

作品データ

著者:Heather Gudenkauf
日本語版:なし
ジャンル:ミステリー、サスペンス
舞台:アメリカ アイオワ州
主人公の職業:看護師
サイドキック:聴導犬(スロバキアン・ラフヘアード・ポインター)

Audible:

www.audible.com


著者のサイト:

heathergudenkauf.com

概要

 主人公のアメリアはある事故が原因で聴覚を失い、生活が一変。経験豊富で優秀な看護師だったが、アルコールに溺れ、仕事も家族(夫と夫の連れ子である娘)との関係もうまくいかなくなり、小さなコテージで一ひとり引きこもるようにして暮らしている。そんなアメリアを支えてくれるのは、聴導犬のステッチ("Stitch"は怪我の傷跡からつけられた名前)だけだった。
 そんなアメリアは、ある日偶然にも殺人事件の第一発見者となる。事件の裏にはアメリア自身にもかかわる秘密が隠されていることを知り、独自に調査を開始する。だが犯人は、そんなアメリアの動きに気づいていた。そして、姑息な手段でアメリアを追いつめていく……。

感想

 ちょっとイヤミス的な展開もあるサスペンス。アメリアが看護師、夫も医師、再就職した職場も病院、事件の謎も医療にからんでいて、「医療」や「医師の倫理」がテーマのひとつにもなっています。

 聴導犬のステッチ、きりっとした「お仕事犬」を想像していたんですが、読んでみると、ちょっと違いました。アメリアの命令を聞かなかったり、落ち着きがなかったりと、まだまだ半人(犬)前?なところも。でも、アメリアのために最後は大活躍します!

  ストーリーの展開がスムーズで、なかなか読みやすい作品でした。主人公が「音のない世界」に住んでいるせいか、作品全体がどこか静寂な空気につつまれています。それだけに、ややパンチに欠ける印象も受けました。ドキドキハラハラとアップダウンの激しいよりも、落ち着いた雰囲気のミステリーが読みたいという気分のときには、ぴったりの作品だと思います。

 

 ステッチのような聴導犬、そして盲導犬(Guide Dog)といった「補助犬(Service Dogs)」が出てくるミステリーは、初めて読みました。"Not A Sound"の舞台はアメリカのアイオワ州。アメリカでは、たくさんの補助犬が活躍しています。

 American Kennel Clubのサイトで補助犬のことを調べてみると、興味深い記事を見つけました。

www.akc.org

 アメリカのパデュー大学が行った調査により、「補助犬は、身体機能面(視覚や聴覚)で使用者を助けるだけでなく、使用者の精神面にも良い効果を与える」ことが、明らかになったという記事です。
 調査は4年間かけて実施されたもので、1500人以上の補助犬使用者・順番待ちの希望者に対するインタビューも含まれています。調査の結果、補助犬使用者は、順番待ちの希望者に比べて、より精神的に安定しており、社会適応性が高く、職場や学校でもうまくやっているということが判明したのだとか(使用者本人だけでなく、その家族にも良い影響が見られるそうです)。
 こうした補助犬の精神面での効果は大きく、アメリカでは実際に、退役軍人の方など、トラウマ症状に苦しむ人のための補助犬(精神科補助犬・Psychiatric Service Dog)も活動しています。

 補助犬についてまとめたページもありました。

www.akc.org

 補助犬だけではなく、「使役犬(Working Dog)」の情報も。「トコジラミ探知犬(Bed bug-detector dog)」なんていう使役犬もいるとは!

 

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(お仕事がんばるワン!)