本と犬

洋書とオーディオブックについて語るブログ。最近は怪奇小説が多め。

ペットフレンドリーな保養地で事件が起こるコージー・ミステリー Murder, She Barked

Murder, She Barked

 

作品データ

著者:Krista Davis
日本語版:なし
ジャンル:コージー・ミステリー
シリーズ:A Paws & Claws Mystery(1作目)
舞台:アメリカ ヴァージニア州
主人公の職業:ホテル経営見習い
サイドキック:犬(ジャックラッセル・テリアなど)、猫
Audible:なし


著者のサイト:

www.kristadavis.com

概要

 ワシントンD.C.で暮らす主人公ホリーは、愛するオーマ(ドイツ語で「おばあちゃん」の意味。オーマはドイツ出身で、アメリカに移住)から急な電話で呼び出され、故郷のヴァージニア州ワグテイルまで車を飛ばす。その道中、犬を拾ったり、炎上する車を目撃したりと、ドタバタのトラブルに巻き込まれつつ、やっとのことでワグテイルに到着。ワグテイルは「ペット・フレンドリー」な保養地で、オーマはペット・オーナーに大人気のホテルを経営していた。どうやら、そのオーマが何者かに命を狙われているらしい。オーマを守るため、ホリーはワグテイルにしばらく留まることにするのだが……。

感想

 表紙の犬が、ホリーが拾ったジャックラッセル・テリアで、名前はトリクシー。序盤からまさにドタバタで、その後ホリーの恋人ベンと、ベンの昔の彼女キムまで現れ、三角関係にやきもきし、かと思えば久しぶりに会った幼馴染のホームズにときめき、殺人事件が起こり(これがメイン)、トリクシーが行方不明になり、ホリーが素人探偵をはじめ……と、これでもかと畳みかけてきます。少々話が強引というか、流れが掴みにくいところもありましたが、プロットはしっかりしていて、いろいろと張られた伏線も最後にきちんと回収され、「あの話は何だったのか?」ということもなかったです。

  コージー・ミステリーといえば、「絵はがきのような田舎の村」が舞台になることも多いですが、本作の舞台のワグテイルも、自然あふれる美しい村です。ペットで町おこしをしているという設定で、ホテルもレストランもショップも、町中どこでもペットOKの、まさにペット・パラダイス。オーマの経営するホテルの部屋も、ペットのおやつやおもちゃが用意され、至れり尽くせり。レディースフロアならぬ、猫専用フロアみたいなのもある! 宿泊ペットには、GPSつきの首輪をつけることになっていて、万一迷子になっても探せるようになっていたり(このGPS首輪が事件解決に一役買うことに)となかなかに細かい!

  トリクシーと、トゥインクルトウ(表紙の三毛猫)が、いちおうメインの動物キャラクターで、そのほかにも、ジンジャースナップ(オーマの飼っているゴールデンレトリバー)などなど、犬や猫がたくさん登場します。本作は〝Paws and Claws Mystery〟(肉球と爪、つまり犬と猫?)というシリーズの第1作で、トリクシーたちも、シリーズが進むと、どんどん活躍の場が増えていくのかもしれません。

 書評サイトなどでは、シリーズのどの作品も好評で、完成度やおもしろさが安定しているシリーズのようです。著者のクリスタ・デイヴィスは、別のコージー・シリーズも発表していて、そちらは翻訳出版されています。主人公が「家事アドバイザー」というちょっと変わった設定で、愛読していました。翻訳版の続きが出ないかずーっと楽しみにしているのですが、まったく出る気配がない……。出版社(東京創元社)さん、どうかこのシリーズ、続編出版してください! 読者は確実にいます! 出たら買います!

  

『感謝祭は邪魔だらけ』
クリスタ・デイヴィス:著、島村浩子:訳

 

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(Wagtail:セキレイ)