本と犬

洋書とオーディオブックについて語るブログ。最近は怪奇小説が多め。

K9ユニットもの海外ミステリー「マティ&ロボ」シリーズ Killing Trail

Killing Trail

 

作品データ

著者:Margaret Mizushima
日本語版:なし
ジャンル:ミステリー、サスペンス
シリーズ:Timber Creek K-9 Mystery(第1作)
舞台:アメリカ コロラド州
主人公の職業:保安官補
サイドキック:警察犬(シェパード)

Audible:

www.audible.com


著者のサイト:

margaretmizushima.com

概要

  コロラド州ティンバー・クリーク郡の保安官補でハンドラーのマティと、その相棒の警察犬(ジャーマン・シェパード)ロボのK9ユニットが活躍するミステリー。山中で少女の遺体が見つかり、殺人事件として捜査が開始される。事件には、郡内に密かにはびこる麻薬取引が絡んでいるらしいのだが……。

感想

  K9ユニットが活躍する海外ミステリーといえば、ロバート・クレイスの「スコット&マギー」シリーズが頭に思い浮かぶのですが、こちらのシリーズも愛読シリーズの仲間入り確定しました! 

 主人公のマティは、ハンドラーとしても、保安官としてもまだまだこれから、というキャラクター。競争を勝ち抜いてハンドラーに選抜されたこともあり、いきおい肩に力が入っていますが、自分の弱いところは素直に認め、失敗を活かしつつ、まっすぐに任務に取り組んでいます。その姿に、すっと感情移入できました。マティが相棒のロボと一緒に成長していく過程も、このシリーズを読む楽しみになりそうです。

 このシリーズでは、「スコット&マギー」シリーズのマギーのような犬視点の章や描写はなく、あくまでマティから見たロボ、というスタンスで描かれています。「マティがロボをどこまで信頼できるか」が鍵になるのですが、ロボはそのマティの信頼に応え、クライマックスでも奮闘します。

  マティを取り巻く人たちも、キャラクターがしっかりと描けていると思います。ハンドラー選抜試験でライバルだった上司ブロディは、マティに負けたことが悔しいのか、上司という地位を振りかざしてくるいやな奴……という印象だったのですが、実は仕事熱心で、何気にかわいい一面もあったりして、後半は見直しました。

 事件にかかわる犬を治療し、ロボの担当医にもなる獣医のコールは、マティの次にメインとなる登場人物です。離婚して、ふたりの娘(ひとりはまだ幼い)を抱えて奮闘するシングルファーザーでもあり、マティは彼のことが気になる様子。今後の作品で、マティとコールの関係が深まっていく可能性がありそうです。

 コールが診察にあたるシーンの描写が妙に細かいと思ったら、著者マーガレットさんの配偶者は獣医なんだそう(ミズシマさんというお名前からして、日系の方でしょうか)。マーガレットさんも、夫のクリニックを手伝っているということなので、どうりで詳しいはずです。

  激しいアクションシーンや、度肝を抜くようなどんでん返しはないのですが、そのぶん落ち着いて読める作品だと思います。登場人物も基本的には地に足ついた「善良な人」ばかりなので、ドロドロした陰湿なミステリーはちょっと……という人にぴったりな一冊です。

 続編が次々と刊行されているので、シリーズとしても期待できます。翻訳書が出版されるといいのですが……。自分が訳したい! とここは言ってしまおう!

 

 ずいぶん昔、コロラド州近隣に数年間住んでいたので、この作品に漂うロッキー山脈地帯の地方色が、読んでいて心地よかったです。わたしが住んでいたのも山の近くで、自然に囲まれた小さな町だったので(人間よりも羊の数が多い、なんてジョークも飛ばしていたほど)、なんだか懐かしい気分になりました。

 

 ロボやマギーのように、K9(警察犬)に選ばれる犬種は、アメリカではジャーマン・シェパードなど大型犬が主流です。シェパード以外だと、ビーグル、バセット・ハウンド、ブラッド・ハウンドといった犬種も活躍しています。小型犬種が警察犬になることは稀ですが、最近では日本でも、プードルやミニチュア・シュナウザー、パピヨンなどが警察犬に任命されて、話題になりました。

 アメリカのオハイオ州でも、2006年、ミッジという、とても小さな犬(チワワとラット・テリアのミックスで、わずか3kgという小ささ!)が警察犬となり、その年のギネスブックに「世界最小の警察犬」として掲載されています。

 これがそのミッジちゃん。

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(犬って、大きくても小さくても犬なんですよね……当たり前ですが。)