本と犬

洋書とオーディオブックについて語るブログ。最近は怪奇小説が多め。

ガーンジー島の読書会 The Guernsey Literary and Potato Peel Pie Society

The Guernsey Literary and Potato Peel Pie Society

作品データ

著者:Mary Ann Shaffer, Annie Barrows
日本語版:『ガーンジー島の読書会』
ジャンル:フィクション
舞台:ガーンジー島
作品の雰囲気:ときにシリアス、ときにコメディタッチ
読みやすさ:読みやすい
Audible:

www.audible.com


著者のサイト:

anniebarrows.com

概要

  第二次大戦後のイギリス。新進気鋭の作家ジュリエットは、ある本をきっかけに、ガーンジー島に住むドーシーという青年や、島の人々と文通をはじめる。ガーンジー島は、戦時中ナチスに占領され、島民はつらく厳しい生活を強いられた。島民の心を癒し、支えとなったのが、ひょんなことから誕生した「ガーンジー読書とポテトピールパイの会」だった。読書会の話を聞いたジュリエットは、彼らの物語を書きたいとガーンジー島を訪れる。そこには美しい自然と、素朴で思いやりにあふれた人々の姿があった。そして、悲しい現実にも直面する。読書会の中心人物だったエリザベスがナチスに連行され、幼い娘のキットをひとり残したまま行方不明になっていたのだ。島で暮らし、そこかしこに残るエリザベスの思い出や心に触れるうちに、ジュリエットはいつしか、キット、そしてドーシーと深い絆で結ばれ、ガーンジー島がかけがえのない場所になっていくのだった。

感想

 読み終わった瞬間、本当に読んでよかった! と思いました。もう、一生の宝物になりそうな作品です。全編が書簡体で書かれているのですが、登場人物の声が聞こえてきそうでした。Audibleで聴き読みしたのですが、すばらしいキャスティング&パフォーマンスで、ベストなオーディオブックといってもいいかもしれない。それぞれの手紙から人物像が立ちのぼってきて、物語の世界にぐっとひきこまれました。

  第二次世界大戦後の混乱の時期を、軽やかに、誠実に生きる人たちの日々が描かれています。ガーンジー島は、戦時中、ナチス・ドイツ軍に占領されていたという過去があり(ガーンジー島は自治権のあるイギリス王室属領なので、イギリスには含まれていないというのも、この作品を読んで知りました)、手紙にも悲しい出来事がたくさんつづられています。そんな時期に、人々の心の支えになったのが読書会でした。
 どの登場人物にも愛着がわきましたが、とりわけ、主人公のジュリエットがチャーミング。最後のジュリエットの決断というか行動には、「ジュリエットらしい!」と驚きつつも納得。ジュリエットと一緒に泣いて、笑って、読み終わったときは、すっかり友達になったような気分。久しぶりに主人公にどっぷり感情移できて、本当に楽しい読書になりました。

 残念ながら翻訳書は絶版のようで、図書館で借りて読みました。もちろん、映画も観ました(なんと、チケットが当たった! 念じれば通ずる?)。原作とはまったく同じ筋書きでは進みませんでしたが、動くジュリエットやドーシーをスクリーンで観て、思わず感動!

 同じく書簡体で書かれていて、第二次世界大戦後の話で、映画化されている、ときたら、こちらの作品を思い出しました。

『チャリング・クロス街84番地―書物を愛する人のための本』

ヘレーン・ハンフ:編集、江藤 淳:翻訳

  説明不要なくらい有名な作品ですが、きちんと読んだのは初めてでした。アメリカ人の本好き女性ヘレーンと、彼女の海を越えた注文をきっかけに交流を続けることになる、イギリスの古書店員フランク。ヘレーンの辛辣かつ愛のこもった物言いに、なんど吹きだしたことか。当時のアメリカやイギリスの文化に触れることもできます。物資不足のイギリスに、アメリカからせっせと食べ物を送る……というくだりは、とても興味深かったです。「乾燥卵」なるものがあるとは知りませんでした。続編もあったんですね。とりあえず、映画版を一度観てみたい!

 

  

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(本にまつわる本も大好きです)