The Darkest Thread
作品データ
著者:Jen Blood
日本語版:なし
ジャンル:ミステリー、サスペンス、オカルト
シリーズ:Flint K-9(第1作)
舞台:アメリカ バーモント州
主人公の職業:山岳救助隊
サイドキック:山岳救助犬(シェパード)
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概要
アメリカ・バーモント州で少女2人が行方不明になり、ドッグトレーナーで救助犬のハンドラーである主人公ジェイミーと、パートナーのファントム(犬)のところに捜索協力の要請が来る。この2人の少女の叔母が10年前に殺されていたこともあり、現場ではFBIが指揮をとる大掛かりな捜索が行われていた。さらに、ほかの少女行方不明事件と関連している可能性も浮上するのだが……。
感想
犬ものサスペンスの背景設定として主人公がハンドラーというのは珍しくありませんが、ジェイミーとその息子ベアに特殊能力(ほかの人には見えないものが見え、聞こえない声が聞こえる、という霊能力?)があるというところが、この作品のオリジナリティです。著者はベストセラーになったシリーズものも書いていますが(サイコスリラー系・未読)微妙に本作とつながっているというか、本作がスピンオフなんだとか。
前半はなかなかエンジンがかからなかったのですが、捜索の場面の描写や、ジェイミーの奮闘する姿にひきこまれて、後半はギアチェンジで一気読みでした。主人公とその息子が持つ特殊能力のインパクトがやや弱い気もしました。もっとぞくっとさせてくれてもよかったのかも? まあ、あまりスーパーナチュラルな部分を強調してしまうと、ミステリーじゃなくてホラーになってしまいますが。
ファントムたち探索犬たちの活躍のほうは、しっかりと描かれていました。同じ犬ものミステリーのロバート・クレイスの「マギー」とか、個人的に「推し犬ミステリー」にしているマーガレット・ミズシマの「ロボ」にはまだ一歩及ばず、という印象も。
使役犬は、犬の鋭い嗅覚を活かして任務にあたることが多いでしょうか。犬の嗅覚や能力がテーマのノンフィクションもたくさん出版されていますが、なかでもベストセラーになった、Inside of a Dog: What Dogs See, Smell, and Know(『犬から見た世界』)の著者アレクサンドラ・ホロウィッツさんが、「嗅覚を活かしてはたらく犬」について語ったラジオ番組を見つけました。
2018年には、別の著作が翻訳出版されています。
『犬であるとはどういうことか―その鼻が教える匂いの世界』
アレクサンドラ・ホロウィッツ:著 竹内和世:訳
原書はこちら。
(はたらく犬といえば、これもそう?)