The Boy, the Mole, the Fox and the Horse
作品データ
著者:Charlie Mackesy
日本語版:未訳
ジャンル:グラフィックノベル
著者のサイト:
概要
ひとりぼっちだった少年が、ケーキが大好きな小さなモグラと、罠にかかっていた無口なキツネと、立派で優しい、そして翼のある馬に出会い、仲間になり、旅をはじめる。道中のとりとめのない会話から、さまざまなことに気づき、世界が広がっていく。
「助けを求めることは、最高に勇気のあること」
「誰かの親切を待っているくらいなら、自分に親切にしてあげればいい」
インクの香りが漂ってきそうな、躍動感と繊細さにあふれたイラストと、ささやかだけれど、胸を打つ言葉がちりばめられた、珠玉のグラフィックノベル。
感想
2019年の秋に出版されて以来、世界中でベストセラーになった話題のグラフィックノベルです。著者で挿絵画家のCharlie Mackesyさんが、ある日何気なくインスタグラムにあげた少年と馬のイラストとメッセージ(「助けを求めることは勇気のあること」)がきっかけで生まれた作品なんだとか。Mackesyさんの投稿したイラストは、病院やさまざまなセラピー施設で利用されはじめ、いつの間にか大きなムーブメントに。出版社からのオファーを経て、少年、モグラ、キツネ、馬が仲間になり旅をする物語として世に出ることになりました。
イラストも文字もつけペン(Gペン?というんでしょうか)で描かれていて、カップのしみや、著者の愛犬が汚した跡(!)までそのまま残され、それが味になっています。そうした書き手の手のぬくもり、人間らしさが伝わってくるのも魅力のひとつでしょうか。
Mackesyさんいわく、少年たちのキャラクターは、ひとりの人間のさまざまな部分を表しているんだそう。好奇心旺盛な少年、ちょっと欲張りだけど元気いっぱいのモグラ、傷つき、物静かで、本当は仲間を求めているキツネ、賢く、深い心の持ち主の馬……。自分のなかにも、同じような部分がどこかにあるからこそ、彼らの紡ぎ出す言葉には、はっとさせられると同時に、共感をおぼえるし、それでいいんだと安心できるのかもしれません。
どのページでも、ぱっと開いてイラストを眺め、言葉に耳を傾けていると、気分が落ち着いてきます。そんな心の処方箋のような、いつも手元に置いておきたい一冊です。
創作風景がとにかく素敵です……。
(土の中からこんにちは!)